レーシックの報道について

レーシックの報道について

おはようございます。

昨日、HPで先週のレーシックの報道について質問をいただきました。外来にいらっしゃる患者さんからも聞かれましたので、お伝えしておきたいと思います。

消費者庁が行った600人のレーシック体験者のアンケート調査で4割以上が症状や不具合を感じている、というものです。中身としては、希望した視力になった74.3%、夜間視力が下がった、ハローグレアがある等の不具合が43.2%ということでした。

まず強度近視の方がLASIKをお受けになると必ず収差が増えて夜間の見え方は昼間に比べると劣ります。ハローグレアは術後3ヶ月くらいまでは、でやすくなります。ただ中等度以下の近視の場合、大体1ヶ月ぐらいでは収まります。また、視力自体が体調で変化するように、瞳孔の開き方も体調などで変化いたしますので、瞳孔の開きが大きくなる方はハローグレアが強く出がち、また小さい直径でレーザーを当てる機種でレーシックをお受けになるとハローグレアが強く出がち、などの要素もあります。

これらは不具合というよりは予想される現象です。ドライアイも半年ぐらいは強めになる方もいますし、きつくなる方はドライアイ治療をしっかりしていくことになります。視力自体が変動することを認識していただくことと共に重要ですが、レーシックはこのような不具合といわれる症状以上に満足感のある手術です。

この調査がどのような人を対象に行われたかは消費者庁のレポートにも一切のっていませんでしたが、希望した視力になった人が74%というのも?です。どの論文でもまず90%以上が裸眼視力改善向上しているとでますし、そう感じています。弱め照射となり満足出来ない場合は追加照射を1−2秒すると、まず満足するレベルに達します。それから考えても、この600人の抽出は、手術の結果に何らかの不満を感じている人たちを集めたのでは、、、と感じます。

また当院では視力が固定された数値ではないことを知っていただいています。体調や睡眠時間、明るさや対象により視力は常に変動します。本来は目安としての視力という数字があるのに、某大手美容外科のように「2.0です!」みたいな間違った価値観にレーシックを受ける方が染まってしまうと、不幸が訪れます。レーシックを受ける前に視力が変動するように、レーシック後も視力は変動し続けます。ですからどこか遠方に出かけて行って、1回視力を計ってレーシックを受けて、ハイさよならがいかに怖いことかを知っていただきたいです。

2009年以降国民生活センターには毎年10件ぐらい危害情報がよせられているとのことで、累計80件、そのうち7件が重大事例とのことです。これはまず刑事事件になった銀座眼科の患者さんがほとんどだと思いいます。また世界でも珍しい、流れ作業的に一日約500人の患者さんをレーシックする施設でお受けになられた患者さんは、説明を吟味して理解する時間や余地がない可能性が高いでしょう。

それでも2009年はレーシックが80万眼あったので、それに対して10眼ぐらい調子が悪いということであれば、危険度としては0.00125%ということになります。このパーセンテージは、医師として問題外の銀座眼科は別として、非常に安全な手術と考えていいと思います。ちなみに白内障の手術は年間100万眼ありますが、危険度は0.02%前後と言われています。ということは医学的に安全と認識され行われている白内障手術よりも、レーシックは約10倍高い安全性があるともいえます。

その意味でも今回の消費者庁レポートには作為を感じます。もう一つは姿勢の根本に何か医学に対しての間違った過信があるのではとも思います。世の中には治らない病気がほとんどですし、人は死にます。世界一赤ちゃんが死なずに出てくるよう病院にサポートされている日本だからこそボケてしまっているのか、なんでも100%なのが当たり前、という風潮なのでしょうか?考えなくてはいけないでしょう。

近年日本では年間20万件とレーシック手術件数はかなり減っています。これは銀座眼科の問題以降、怖い危ない手術だという報道や認識が高まった結果でしょう。世界的には非常に珍しい現象のようです。報道の姿勢が問われるとも思いますし、統計の扱いにも問題があると思います。このような報道やレポートで、安全なレーシックを受けることをあきらめてしまう人がいるかと思うと可哀想です。

よく話を聞いて、判断しましょう。

 

しつこいですが、レーシックでも白内障手術でも老眼は治りませんよ。

(老眼レーシックでも、あとあとメガネは必要になります。)

近視がなくなる=老眼は感じやすくなる

ですから一生メガネなしの生活になるわけではありませんのであしからず。

私も近く用メガネ(いわゆる老眼鏡)愛用しています。